2022年12月21日の日経新聞朝刊に『「専門型」も本人同意義務 裁量労働、働き過ぎに配慮』という記事がありました。社労士試験では、裁量労働制の導入の要件は外せない論点です。
本人同意の導入、業務の追加は2024年の見込み
記事では、『20日に開いた労働政策審議会の分科会に提示』し、『2023年に政省令を改正し、24年に導入する。』というものです。
記事では以下が挙げられています。
- 裁量労働時間制に「勤務間インターバル」や「深夜残業の回数制限」などを導入する
- 専門業務型に「銀行や証券会社のM&A業務」を追加する
- 専門業務型に「本人の同意」を新たに義務付ける
詳細は厚生労働省の労働政策審議会の労働条件分科会のページに資料等がアップされています。 ⇒ リンクはこちら
現行制度は専門業務型は労使協定で導入可能で本人同意は不要
専門業務型裁量労働制は労働基準法第38条の3、企画業務型裁量労働制は第38条の4で規定されています。
2022年12月時点の制度では、企画業務型の第38条の4では、決議すべき事項として6号で『当該労働者の同意を得なければならないこと及び当該同意をしなかつた当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと。』がありますが、専門業務型の第38条の3では、該当する事項が定められていません。

今回の改正の方向性では、専門業務型についても、企画業務型と同様に本人の同意が必要な旨を定めることになるようです。

2024年の改正予定で、2023年の社労士試験で翌年改正されるのに専門業務型で本人の同意が必要ないという論点を出してもあまり意味がないように思えるので、企画業務型の要件のほうが問題が作りやすそうに思えます。
併せて確認しておきた高度プロフェッショナル制度
裁量労働制と混同してしまう制度として、高度プロフェッショナル制度(労働基準法第41条の2)があります。
「プロフェッショナル」という名称で専門業務型裁量労働制と、また手続要件の「労使委員会の4/5以上の議決」という要件で企画型裁量労働制と混同してしまいがちです。
専門業務型裁量労働制、企画型裁量労働制は1日の労働時間についての制度です。1日につき労使協定等で定めた時間労働したものとみなす制度です。
それに対して高度プロフェッショナル制度は、労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金についての制度です。
裁量労働制ではみなし労働時間が8時間を超えている場合や休日・深夜に労働した場合は割増賃金が必要ですが、高度プロフェッショナル制度ではそれらも適用が除外されています。
高度プロフェッショナル制度と専門業務型裁量労働制では対象となる業務も違うので注意が必要です。

似たような名前で混同しやすい制度なので社労士試験では注意が必要です。
参考:専門業務型裁量労働制等の対象業務
専門業務型裁量労働制の対象業務
労働基準法施行規則第24条の2の2より抜粋(青字は筆者追記)
一 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
二 情報処理システムの分析又は設計の業務
三 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法第二条第二十八号に規定する放送番組の制作のための取材若しくは編集の業務
四 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
五 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
六 前各号のほか、厚生労働大臣の指定する業務
労働省告示第七号より抜粋
一 (コピーライター)広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務
二 (システムコンサルタント)事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務
三 (インテリアデザイナー)建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務
四 ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
五 (証券アナリスト)有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務
六 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
七 学校教育法に規定する大学における教授研究の業務
八 公認会計士の業務
九 弁護士の業務
十 建築士の業務
十一 不動産鑑定士の業務
十二 弁理士の業務
十三 税理士の業務
十四 中小企業診断士
高度プロフェッショナル制度の対象業務
労働基準法施行規則第34条の2より抜粋(青字は筆者追記)
一 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
二 (ディーリング)資産運用(指図を含む。以下この号において同じ。)の業務又は有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断に基づく資産運用の業務、投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務又は投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引の業務
三 (証券アナリスト)有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務
四 (コンサルタント)顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査又は分析及びこれに基づく当該事項に関する考案又は助言の業務
五 新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務


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