【ニュースネタ】2023/01/30 「課題解決型開発提案業務」は専門業務型裁量労働制、「裁量的にPDCAを回す業務」は?

テーマは裁量労働制 ニュースより

2023年1月30日の日経新聞朝刊に『システム開発も裁量労働 法改正なしで対象業務拡大 基準の明示や周知課題』という記事がありました。社労士試験では、労働基準法の裁量労働制の論点です。

法改正なしで解釈を拡大して対象業務を拡大

記事では、『車両メーカーが車両とIT(情報技術)を組み合わせて顧客データを大規模に収集する管理システムの開発など「課題解決型開発提案業務」』と『生産ラインの作業効率や人事制度の刷新など「裁量的にPDCA(立案・試行・結果測定・本格実施のサイクル)を回す業務」の2類型』を『法改正はせず現行法の再解釈と運用見直しで実現する。』というものです。

裁量労働制は『労働基準法38条で規定されて』おり、『デザイナーなど19業務に限定される「専門業務型」と、立案業務などの「企画業務型」の2つ』に分かれます。

『課題解決業務』は『専門型に規定済みの「情報処理システム設計」と「システムコンサルタント」にまたがる業務と整理』されました。

一方で、『PDCAを回す業務については、』記事では、『12月半ばに「現行法の対象になりうる」(川田教授)と整理し直した。』との記載となっており、どのように整理されたのかは記載がありませんでした。

裁量的にPDCAを回す業務はどれに該当する?専門業務型?企画業務型?

労働基準法では、第38条の3、第38条の4でそれぞれ専門業務型、企画業務型の裁量労働制について定められています。このあたりは、外せない論点です。

専門業務型と企画業務型の比較表
出典:労働基準法第38条の3、第38の4より作成

専門業務型は、厚生労働省令で定める業務とされ、労働基準法施行規則第24条の2の2、労働省告示で19の業務が定められています。

確かに、
「・車両メーカーにおいて、車両開発とITサービスを組み合わせて、車両の使用状況や故障・修繕実績等のデータを一元的に管理する管理システムを開発提案する業務」
「・システム開発会社において、ITシステム、あるいはハードの製品とITシステムを組み合わせた製品やサービスを、顧客から潜在的ニーズを探りながら、オーダーメイドで提案する業務」
は専門業務でとして挙げられている以下の2つの組み合わせと言われればそうだなと思います

  • 情報処理システムの分析又は設計の業務
  • 事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務、いわゆるシステムアナリスト

では、「裁量的にPDCAを回す業務」はどれに該当するのでしょうか?

専門型業務には該当しそうなものがないので、企画業務型裁量労働制の解釈で適用することになるのではないかと思われます。

労働基準法第38条の4では企画業務型裁量労働制の対象業務は『事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務』されているので、以下の点の解釈についてどのように解釈が示されるのか興味があります。

  • どの程度の業務の範囲なら「事業運営に関する事項」に該当するのか?
    厚生労働省のHPでは『個別の製造等の作業や当該作業に係る工程管理のみを行っている事業場』は該当しないとされていますが、「機械メーカーの生産ラインにおいて作業改善計画」との線引きはどう解釈されるんでしょう。
  • どこまでを「企画、立案、調査及び分析」に解釈するのか?
    確かに、作業改善の本格実施に至るまでの「PDCA」なら「企画、立案、調査及び分析」と言えなくもないように思います。一般的なPDCAだと、Pを企画、Cを分析としても、DやAは「企画、立案、調査及び分析」の範疇を超えるようにも思えます。

専門型への銀行や証券会社のM&A(合併・買収)業務の追加、本人同意の義務化の法改正も予定されているので、2024年では法改正の対応は外せない論点になりそうです。

参考:専門業務型裁量労働制の対象業務

参考:専門業務型裁量労働制の対象業務

労働基準法施行規則第24条の2の2より抜粋(青字は筆者追記)

 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務

 情報処理システムの分析又は設計の業務

 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法第二条第二十八号に規定する放送番組の制作のための取材若しくは編集の業務

 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務

 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務

 前各号のほか、厚生労働大臣の指定する業務

労働省告示第七号より抜粋

一 (コピーライター広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務

二 (システムコンサルタント)事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務

三 (インテリアデザイナー)建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務

四 ゲーム用ソフトウェアの創作の業務

五 (証券アナリスト)有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務

六 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務

七 学校教育法に規定する大学における教授研究の業務

八 公認会計士の業務

九 弁護士の業務

十 建築士の業務

十一 不動産鑑定士の業務

十二 弁理士の業務

十三 税理士の業務

十四 中小企業診断士

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