2023年1月10日に、Yahoo!ニュースのテレ朝newsで『社会保険労務士の女を逮捕 コロナの雇用調整助成金を詐取した疑い 専門知識を悪用か』というニュースがありました。
社労士が助成金の不正に関与した場合の罰則などについて調べました。
社労士として許せない行為で逮捕
記事のリンクはこちら。
記事によると、社会保険労務士の容疑者と会社役員の容疑者が『国から雇用調整助成金約400万円をだまし取った疑い』で逮捕されました。
社労士の容疑者が『専門知識を使って書類作成の代行などをして』、2人で『架空の申請』をしており、また、社労士の容疑者は他にも『約10の事業者の約3000円分の不正請求に関わったとみられ』ているようです。
社会保険労務士がニュースに登場することは多くないですが、人々がみんな苦しんだコロナの状況を国がなんとかしようとして対応したなかで、不正をするという許されない行為でニュースになるのは非常に残念です。
責任といえば、民事、刑事、行政罰
責任といえば、刑事、行政罰、民事の3点セットです。
交通事故なら、「道交法での懲役刑や罰金刑」、「免許の違反点数での免停など」、「被害者への賠償」といった感じです。
雇用調整助成金の不正受給での社労士の責任はどうでしょうか。
詐欺罪や社会保険労務士法での刑事罰
ニュースの記事の通り、詐欺の疑いで逮捕されたようです。今後、刑事裁判で有罪となれば刑事罰が与えられます。
詐欺罪だと10年以下の懲役です。
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
引用:刑法第246条 詐欺罪
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
社労士の試験範囲でいえば、社労士法では、第15条で『不正行為の指示等の禁止』、第32条で罰則として3年以下の懲役又は200万円以下の罰金と定められています。
(不正行為の指示等の禁止)
第十五条 社会保険労務士は、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険給付を受けること、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険料の賦課又は徴収を免れることその他労働社会保険諸法令に違反する行為について指示をし、相談に応じ、その他これらに類する行為をしてはならない。為について指示をし、相談に応じ、その他これらに類する行為をしてはならない。第三十二条 第十五条(第二十五条の二十において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、三年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。
引用:社会保険労務士法第15条、第32条
社会保険労務士の懲戒
社会保険労務士法では、第26条で社労士の懲戒について、①戒告、②一年以内の業務停止、③失格が定めれています。
故意の不正の場合だと、②一年以内の業務停止、③失格のいずれかです。(第25条の2)
(不正行為の指示等を行つた場合の懲戒)
引用:社会保険労務士法第25条の2
第二十五条の二 厚生労働大臣は、社会保険労務士が、故意に、真正の事実に反して申請書等の作成、事務代理若しくは紛争解決手続代理業務を行つたとき、又は第十五条の規定に違反する行為をしたときは、一年以内の開業社会保険労務士若しくは開業社会保険労務士の使用人である社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人の社員若しくは使用人である社会保険労務士の業務の停止又は失格処分の処分をすることができる。
雇用保険法では、連座制で社労士にも返還義務
雇用保険法施行規則では、雇用調整助成金について、代理人が不正受給した助成金について事業主と連帯して返還することが定められています。
事業主がすでの助成金を使いこんだり逃げたりしたら、社労士は自腹でペナルティの2割も含めて返還しないといけないことになります。
(返還命令等)
引用:雇用保険法施行規則第43条の3
第百四十条の三 偽りその他不正の行為により雇用調整助成金その他の法第四章の規定により支給される給付金の支給を受けた事業主又は事業主団体若しくはその連合団体がある場合には、都道府県労働局長は、その者に対して、支給した給付金の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた第百二十条に規定する雇用関係助成金及び第百三十九条の四第一項に規定する雇用関係助成金については、当該返還を命ずる額の二割に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。
2 前項の場合において、代理人等又は訓練機関が偽りの届出、報告、証明等をしたため同項の規定による雇用関係助成金が支給されたものであるときは、都道府県労働局長は、その代理人等又は訓練機関に対し、その支給を受けた者と連帯して、同項の規定による雇用関係助成金の返還又は納付を命ぜられた金額の納付をすることを命ずることができる。
社労士試験では費用負担が典型論点
ここからは、余談です。
社労士試験では、各法令について国庫負担や都道府県、市町村の負担の割合などが典型論点となっています。
勉強しているときは「こんな知識、合格した後は使わないよな」と思いつつ、国からの「社労士になったら不正は絶対するなよ。保険料だけでなく国や地方公共団体のお金つまり税金がこんだけ投入されてるんだからな。」というメッセージだと思い一生懸命覚えていました。

社愛保険労務士がニュースになったと思ったら、非常に残念なニュースでした。


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