2022/11/05の日経新聞朝刊に自民党が「勤務間インターバル推進プロジェクトチーム(PT)」の初会合を開いたというニュースがありました。
週休3日・長期休暇を促進 勤務間インターバル導入で助成金 自民PT提言へ 生産性向上狙う
自民党は4日、党本部で「勤務間インターバル推進プロジェクトチーム(PT)」の初会合を開いた。終業から始業まで一定時間の休息を義務づける制度を導入した企業への助成金支給や税制優遇を月内に提言する。睡眠時間を増やして労働生産性の向上につなげる狙いがある。
日経新聞2022/11/05朝刊より
勤務間インターバル制度は欧州連合(EU)が採用し、日本は19年から企業の努力義務にした。政府は25年までに導入企業を15%以上に増やす目標だが21年時点で5%ほどにとどまる。PTは政府による企業への支援を働きかける。
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「労働時間等設定改善法」(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法)により、2019年4月1日からインターバル制度を導入することが事業主の努力義務となりました。
同法の2条で『第二条 事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。』と定められています。
2021年時点での導入は5%ほどにとどまるというところで、大企業でも一部でしかまだ導入されていないというところでしょうか。
令和3年の厚生労働省の「令和3年就労条件総合調査」では、導入している企業が4.6%、導入を予定又は検討しているが13.8%、残りの8割の企業が導入予定はなく検討もしてない、としています。
この導入している企業と導入を予定又は検討しているで20%弱なので15%の目標はなんとかクリアできそうではあります。

日本の企業はホワイト企業が多い?
厚生労働省の「令和3年就労条件総合調査」での、「導入予定はなく、検討もしていない企業」の理由としては以下の回答となっています。
- 超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため 57.2%
- 当該制度を知らなかったため 19.2%
- 夜間も含め、常時顧客や 取引相手の対応が必要なため 9.3%
- 人員不足や仕事量が多いことから、当該制度を導入すると業務に支障が生じるため 9.3%
- 当該制度を導入すると労働時間管理が煩雑になるため 9.3%
57.2%の企業は超過勤務の機会が少なく必要性を感じないためとしています。
確かに9時始業の会社であれば、11時間のインターバルとして、22時以降まで残業しなければ11時間のインターバルが始業に食い込むことはありません。昨今の働き方改革などで大企業では深夜残業に及ぶような残業は減っているということでしょう。
さらにもっと短いインターバル、例えば8時間のインターバルなら、9時始業なら25時まで残業できますから、あまり意味がないように思います。
一方で、上記の理由の3~5の会社は、導入すれば支障があるということで勤務間インターバルが十分に取れていないかもしれない会社も3割弱と相当数あるようです。
勤務間インターバルを導入した場合に残業すると翌日の勤務はどうなる?
勤務間インターバル制度を導入した場合で、深夜まで残業した場合は翌日の勤務はどのような扱いになるのでしょうか。
例えば、8時始業で休憩1時間の8時間勤務で17時終業の会社で23時まで残業した場合、11時間のインターバルだと翌日の10時までが勤務間インターバルとなります。この場合に8時~10時はどのような扱いになるのでしょうか。
この点、厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」に掲載の「勤務間インターバル制度」リーフレットでは2つのパターンの就業規則の規定例が示されています。
1⃣インターバル時間と翌日の所定労働時間が重複する部分を働いたものとみなす場合【例1】
(勤務間インターバル)
第〇条 いかなる場合も、従業員ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、〇時間の継続した休息時間を与える。
2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、当該始業時間から満了時刻までの時間を勤務したものとみなす。2⃣インターバル時間と翌日の所定労働時間が重複した場合、勤務開始時刻を繰り下げる場合【例2】
出典:厚生労働省「勤務間インターバル制度」リーフレット
(勤務間インターバル)
第〇条 (1⃣と同様のため省略)
2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、翌日の始業時刻は、前項の休憩時間の満了の時刻まで繰り下げる。
【例1】の会社では、重なった時間は勤務したものとみなされます。

23時まで働いた次の日は、10時~17時まで働けばよいということになります。8時から10時は勤務したものとみなしてもらえるので、給与計算上は8時~17時まで働いたことになります。
前日残業したからといって、次の日の仕事の量は変わらないでしょうから、8時間仕事があるとして10時~19時まで働いたとすると17時~19時は所定時間外の残業という扱いになります。
【例2】の会社では、重なったら始業時間を繰り下げます。
この場合には、終業時間を変更しないパターンと繰り下げるパターンがあります。

終業時間を変更しない場合
翌日は、10時~17時となります。17時で仕事が終わった場合にはいつもより2時間短い時間しか働いていないので2時間分の賃金が控除されることになります。【例1】と実際の始業時間と終業時間は同じですが賃金の扱いが異なることになります。
終業時間を繰り下げる場合
翌日が10時~19時が所定労働時間となります。2時間遅く会社に来た分、2時間遅くまで会社で働くということになります。

今日は、勤務間インターバルについて調べてみました。
社労士試験では、労働に関する一般常識の範囲には入ってきますので、導入が5%程度と低い水準で、導入しない会社の6割弱が超過勤務が少なく制度の必要性を感じていないというのは覚えておくとよいかも知れません。


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