「死亡したものと推定する」、「死亡したものとみなす」って社労士の勉強で出てきますが、もし生きていたらどうなるの?って気になりました。そこで、「みなす」と「推定する」について調べてみました。
「みなす」は反論を許さず、「推定する」は反論を許します。
「(A)を(B)とみなす。」というと、(A)が(B)とは違うものでも法律上は(B)として取り扱うという意味になります。実際にそうでなくても、一定の法律関係においてはそうだと決めてしまいます。
したがって、「いや(B)じゃない」という反論は受け付けられません。
「(A)を(B)と推定する」という場合には、(A)は(B)じゃないかもしれないが一応は(B)ということにするという意味になります。(A)が(B)ではないということが証明されれば、その推定は覆されます。一応このように取り扱うが、もし、反対の証拠を出せば、それを覆すことができます。
国民年金法での「みなす」の例
(遺族の範囲)
第三十七条の二 遺族基礎年金を受けることができる配偶者又は子は、被保険者又は被保険者であつた者の配偶者又は子(以下単に「配偶者」又は「子」という。)であつて、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、かつ、次に掲げる要件に該当したものとする。
一 配偶者については、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、かつ、次号に掲げる要件に該当する子と生計を同じくすること。
二 子については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるか又は二十歳未満であつて障害等級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。
2 被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時胎児であつた子が生まれたときは、前項の規定の適用については、将来に向かつて、その子は、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持していたものとみなし、配偶者は、その者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなす。
国民年金法の遺族基礎年金の遺族の範囲では、「みなす」が使われています。
胎児については被保険者が死亡した当時は生まれてきていないので生計を維持していたものではないですが、「生計を維持していたもの」として取り扱われます。
これについて誰かが、「妊娠中も配偶者の給料だけで生活していたから被保険者によって生計を維持していなかった」と証明したとしても、「生計を維持していたもの」としての取り扱いが変わることはありません。
国民年金法での「推定する」の例
第十八条の三 船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた際現にその船舶に乗つていた者若しくは船舶に乗つていてその船舶の航行中に行方不明となつた者の生死が三箇月間分らない場合又はこれらの者の死亡が三箇月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期が分らない場合には、死亡を支給事由とする給付の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた日又はその者が行方不明となつた日に、その者は、死亡したものと推定する。航空機が墜落し、滅失し、若しくは行方不明となつた際現にその航空機に乗つていた者若しくは航空機に乗つていてその航空機の航行中に行方不明となつた者の生死が三箇月間分らない場合又はこれらの者の死亡が三箇月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期が分らない場合にも、同様とする。
社労士の勉強で推定と言えば、これぐらいしかでてこないです。
船舶が沈没等したか、船舶の航行中に海に落ちたりして行方不明になったら、死亡したかどうか分からないしいつ死亡したかも分からないが、一応、沈没や海に落ちた日に死亡したことにしておくということです。
この場合は、生きていることが分かれば「沈没や海に落ちた日に死亡したことにしておく」というその推定は覆されて、支給されていた遺族年金などは支給事由がなかったことになるので返還することになります。
社労士の試験では「船舶」「航空機」以外が入ってたら間違いですので注意しましょう。「自動車事故」などでは推定されません。
死亡したとみなされた者が生きていた場合はどうなる?
同じく国民年金には「みなす」の規定としてこんなものがあります。
第十八条の四 失踪の宣告を受けたことにより死亡したとみなされた者に係る死亡を支給事由とする給付の支給に関する規定の適用については、第三十七条、第三十七条の二、第四十九条第一項、第五十二条の二第一項及び第五十二条の三第一項中「死亡日」とあるのは「行方不明となつた日」とし、「死亡の当時」とあるのは「行方不明となつた当時」とする。(以下略)
失踪の宣告とは、「不在者につき、その生死が7年間明らかでないとき(普通失踪)、又は戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇しその危難が去った後その生死が1年間明らかでないとき(危難失踪)に配偶者などが家庭裁判所に申し立てることで、家庭裁判所が失踪宣告をすることができます。失踪宣告とは,生死不明の者に対して,法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度です。」
そのため、失踪宣告がされると、その人は死亡したとみなされます。
では、その人が生きていることが分かったらどうなるのでしょうか?
失踪宣告がされた人が生きていることが分かっても「みなす」のため反論が許されません。
そのため、生きていることを証明しただけでは、失踪宣告が有効である限りは生きていても死亡したとみなされたままです。
そこで、家庭裁判所に申し立てて失踪宣告を取消してもらう必要があります。失踪宣告が取り消されることでやっと死亡という取扱いが取り消されることになります。
そして失踪宣告が取り消されて死亡という取扱いが取り消されると、民法の第32条の2項の「失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。」等規定により遺族基礎年金等の返還の必要が生じます。

今回は、「みなす」と「推定する」の違いでした。シャロ勉では、「船舶」「航空機」の3箇月は覚えておかないといけないですね。


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