私が社労士の勉強を始めて、とまどったのが日数の計算です。
2022年の選択式でも解雇予告の何月何日までにしないといかないかという具体的な日付を解答させる問題が出題されています。
法律の勉強になじみがなかったので「〇〇した日からXX日以内」や「○○した日の翌日から起算してXX日以内」、「経過する日」「経過した日」という似たような言い回しに苦戦しました。
~した日から●日以内、~した日の翌日から起算して●日以内
基本編
- 請求があった日から3日以内
- 請求があった日の翌日から起算して3日以内
言い回しが違いますが、2つは同じ期間を指しています。
後者の「から起算して」の場合はその日を起算日とするので1日目として含みます。「請求があった日の翌日から起算して3日以内」の場合は、「請求があった日の翌日」を1日目としてカウントします。
分かりにくいのが前者の「日から」の場合です。
この場合は、いつを1日目にするか明確に記載されていませんが、民法140条の規定で、期間を計算するときは原則として、初日はその日数に算入しないこととされています。「請求があった日から3日以内」がこの場合に該当し、「請求があった日」は1日目としては算入せず、「請求があった日」の翌日が1日目になります。(初日不算入の原則)
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
民法140条
具体例で整理したほうが分かりやすいので、以下で整理します。(パターンを3つに増やします。)
請求があった日を3月15日して、以下の3つの場合を考えていきます。
(A) 請求があった日から3日以内
(B) 請求があった日の翌日から起算して3日以内
(C) 請求があった日から起算して3日以内
(A) は、請求があった日(3月15日)からの初日は含まず3日なので、16日・17日・18日の3日間で、18日までになります。
(B) は、請求があった日の翌日(3月16日)から起算してなので、起算の初日の16日は含めて、16日・17日・18日の3日間で、18日までとなります。

つまり、「(A) 請求があった日から3日以内」と「(B) 請求があった日の翌日から起算して3日以内」は同じ期間を指すということですね。

同じ日を指すなら表現統一してくれればいいのですが、法律により違うのでややこしいところです。

「●●した日から X日以内」、「●●した日の翌日から起算して X日以内」はともに同じ日を示し、計算方法としては「●●した日」にX日を足せば答えになります。
上の例では
3月15日 + 3日 = 3月18日 となります。
そして、(C) の「請求があった日から起算して3日以内」の場合です。この場合は、請求があった日(3月15日)から起算してなので、初日の15日を含めて3日間、15日・16日・17日の3日で、3月17日までということになります。
おさらいをすると以下のようになります。
| 期間の記載 | 期限 |
|---|---|
| (A) 請求があった日から3日以内 | 3月18日 (3月15日 + 3日) |
| (B) 請求があった日の翌日から起算して3日以内 | 3月18日 (3月15日 + 3日) |
| (C) 請求があった日から起算して3日以内 | 3月18日 (3月15日 + 3日 – 1日) |
- 「~した日から」という場合は、初日不算入の原則で、翌日を1日目としてカウント
- 「XXXの日から起算して」という場合は、その起算する日を1日目としてカウント

2022年社労士試験では、択一式の労働基準法の問5の選択肢Bが「契約解除の日から14日以内」が具体的にいつかを判断させる選択肢でした。→市販テキストで社労士試験を突破できるか?2022年択一式編 第1回労働基準法及び労働安全衛生法
期間が長い場合の計算方法
選択式では具体的な日付の計算を求められることもあり、1日の計算間違いで足切りにあうこともあるのが社労士試験の怖さです。計算間違いがしないよう丁寧に計算しましょう。
労働保険徴収法で出てくる、年度の途中で保険関係が成立した場合の概算保険料の納付期限の計算を例に筆算の方法をマスターしておきましょう。

社労士試験では、電卓の持込はできないため、計算問題は筆算で計算する必要があります。
例として、5月25日に保険関係が成立し、「保険関係が成立した日から50日以内」という納付期限の日を具体的に計算していきます。

① 5月25日に 50日を足して 5月75日と計算する。
② 5月は31日までなので、75日から31日を引いて44日、5月を1か月繰り上げて6月にし、6月44日と計算する。
③ 6月は30日までなので、44日から30日を引いて14日、6月を1か月繰り上げて7月にし、7月14日と計算し、これが答えとなり、5月25日から50日以内とは、「7月14日」までが答えとなる。
日数が多い場合は②③を繰り返して、●月XX日のXX日がその月の日数以内になるまで繰り返します。
初日不算入の例外① 具体的な日付の場合

労働保険徴収法で、「6月1日から40日以内に概算保険料の申告をする」とありますが、具体的な日にちは、7月10日までとテキストにあります。
6月1日の翌日を1日目とすると7月11日になるのに、なぜ7月10日になるのでしょうか?

その日が24時間まるまるカウントできる場合には、その日を1日目としてカウントすることになります。これが、初日不算入の原則の例外になります。
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
民法140条

午前零時から始まるときは、この限りではない。とは
「ただし、・・この限りではない」
⇒「だだし」の前文を適用しない
⇒「初日は算入しない」を適用しない
⇒初日を1日目として算入する
となります。
初日不算入となるのは。「~した日」からという場合になります。具体的な日付、例えば「6月1日から5日以内」というような場合は、6月1日は1日目にカウントし、「6月1日から起算して5日以内」と同じ意味になります。
「~した日」という場合は、その日の0:00~翌日0:00までの24時間の間のどこかで、請求書が到着するなり、役所に書類を提出するなりしていて、その「~した日」の途中からなので、初日は1日目にカウントしません。
一方、「6月1日から5日以内」というような場合は、6月1日の丸ごと24時間をカウントできるため、その日を1日目としてカウントすることになります。

「6月1日から」の場合には、6月1日の0:00をスタートにできるので、6月1日の24時間をまるまるカウントできるイメージです。
社労士の勉強で、具体的な日から起算するケースがでてきたのは、労働保険徴収法の年度更新の際の納期限だけと記憶してますので頻繁には出てきませんが、最初は混乱しました。
結論としては、労働保険徴収法での年度更新の場合の申告書と概算保険料の期限は、「6月1日から40日以内」で「7月10日まで」になります。試験対策では「7月10日」を丸暗記するだけですが、初学だと混乱してしまうかも知れませんので、少しくどいですが書いておきました。
初日不算入の例外② ~した翌日にXXするケース
健康保険法では、任意継続被保険者になるための申出について、「第三条第四項の申出は、被保険者の資格を喪失した日から二十日以内にしなければならない。」と定められています。

ここで問題です。退職により被保険者の資格を喪失した日が7月1日の場合は、いつまでに申出をしないといけないでしょうか?

「~した日」の場合だから、7月1日は初日不算入で、7月2日を1日目として20日以内なので、7月21日まではないのですか。

そうなりそうですが、不正解で、7月20日までなのです。
このケースは、実は、基準日(資格を喪失した日)が2段構えになっているケースなのです。
この「資格を喪失した日」というのがポイントになります。
健康保険法では36条で、「事業所に使用されなくなったとき」は「該当するに至った日の翌日」に資格を喪失するとされています。
この場合、資格を喪失した日は、退職した日の翌日のため、翌日になった瞬間に資格を喪失するため、初日不算入の『ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。』に該当し、「資格を喪失した日」は1日目にカウントされます。

この「退職した日の翌日に資格を喪失する」というのが、「~した日の翌日にXXする」のケースに該当します。
その結果、資格を喪失した日が7月1日の場合は初日を1日目にカウントして、任意継続被保険者の申出は7月20日までにしないといけない、が正解となります。

「事業所に使用されなくなったとき(退職の日)」と「資格を喪失した日」の関係をしっかり押さえておかないと間違うことになります。
- 「~した日」であっても、その日の午前零時からスタートする場合は、その日を1日目にカウントする。
- 「~した日」が「●●に至った翌日」と定義されている場合は午前零時からスタートする場合に該当する。
~した日後、した日以後、~した日前、~した日以前
「~した日以後」「~した日以前」の「以」がつくものは、小学校の算数でも出てきた「以上」「以下」と同じ考え方です。この場合は「~した日」を含めて考えます。
これに対するのが「~した日後」「~した日前」で、この場合は「~した日」を含みません。

- 「以」がついていれば、その日を含む
- 「前」「後」だけなら、その日は含まない
です。
~を経過する日、~を経過した日
基本編
雇用保険法では、「特例一時金の支給を受けようとする特例受給資格者は、離職の日の翌日から起算して六箇月を経過する日までに、・・・・・失業していることについての認定を受けなければならない。」と定められています。
厚生年金保険法では、「前項の規定によつて改定された標準報酬月額は、育児休業等終了日の翌日から起算して二月を経過した日の属する月の翌月からその年の八月までの各月の標準報酬月額とする。」との規定があります。
「経過する日」とはその期間の最終日、「経過した」とはその期間の終了した次の日になります。
以下の例で、「請求があった日」を10月10日とした場合で考えてみます。
請求があった日の翌日から起算して1か月を経過する日
請求があった日の翌日(10月11日)から起算して1か月は、10月11日~11月10日までで、経過する日は、その期間が過ぎようとしている日、最終日のことを指し、11月10日となります。
請求があった日の翌日から起算して1か月を経過した日
請求があった日の翌日(10月11日)から起算して1か月は10月11日~11月10日までで、経過した日は、その期間が過ぎた次の日を指し、11月11日となります。
経過する日が月末の場合はどうする?
まず、起算日が1日の場合には、経過する日は月末になります。
次に、31日まである大の月に基準日があり、経過する日が小の月(西向くサムライの2月、4月、6月、9月、11月)に該当する場合はどうなるのでしょうか。
該当する日がその月にない場合は、経過する日は月末の日になります。
いろいろ考えるより例を見た方が早いと思いますので一気に整理していきます。うるう年ではないとして読んでください。
| 経過する日 | 経過した日 | 説明 | |
|---|---|---|---|
| 請求があった日(1月27日)の翌日から起算して1か月 | 2月27日 | 2月28日 | 1月28日から起算して1か月を経過する日は2月27日、経過した日は28日で基本通りの算定 |
| 請求があった日(1月28日)の翌日から起算して1か月 | 2月28日 | 3月1日 | 1月29日から起算して1か月を経過する日は2月28日、経過した日はその翌日の3月1日で基本通りの算定 |
| 請求があった日(1月29日)の翌日から起算して1か月 | 2月28日 | 3月1日 | 1月30日から起算して1か月を経過する日は2月29日だが、2月にはないので経過する日は2月の月末の28日。 経過した日は2月28日の次の日で3月1日 |
| 請求があった日(1月30日)の翌日から起算して1か月 | 2月28日 | 3月1日 | 上の例と同様に、経過する日は1月31日を起算して2月30日だが、2月にはないので経過する日は2月の月末の28日。 経過した日は2月28日の次の日で3月1日 |
| 請求があった日(1月31日)の翌日から起算して1か月 | 2月28日 | 3月1日 | 起算日は2月1日で、経過する日は2月の月末のため2月28日。経過した日はその翌日で3月1日 |

日付の計算は、選択式での出題も想定されますし、条文を理解するうえでも基礎知識になるので、なるべく早い段階で慣れておくことが合格への早道になります。


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