前回の記事(市販テキストで独学で社労士試験は突破できる?(選択式編 その1 労働保険科目))に引き続き、今回は社会保険科目について市販テキストで突破できるか見ていきます。
私は、STADYingの通信講座を使い、TACの総まとめテキストと、大原出版の市販の「読めばわかる!社労士テキスト」を使い勉強していました。
ここでは、ずばり大原出版の市販の「読めばわかる!社労士テキスト」で選択式を突破できたか。2022年の選択式試験を1問づつ具体的に検証していきます。以下「テキスト」はこの「読めばわかる!社労士テキスト」(2022年対策)を指します。
独学で市販テキストで勉強しようと考えている方や、予備校を使っているがそのテキストが膨大で途方に暮れている方は参考にしてもらえると思います。
社会保険関係科目は14点ぐらい
- 社会保険に関する一般常識:2点
- 健康保険法:4点
- 厚生年金保険法:4点
- 国民年金法:4点
社会に関する一般常識は2点と基準点割れになってしまいます。しかし、本試験では49.3%の受験生が2点以下となっており、救済の条件に近い厳しい基準でした。
労働科目(記事はこちら)は12点~13点ぐらいでしたので合計で26点~27点。合格基準が27点でしたので、社会保険に関する一般常識の白書・統計対策か運で基準点割れしないように点数が取れれば合格基準に達しているということになります。

市販のテキストでも十分に合格点を狙えるということです。
選択式に続いて択一式も検証しています。リンクは↓
択一式労基法及び安衛法、択一式労災法、択一式雇用保険法、択一式労一・社一、択一式健康保険法、択一式厚生年金保険法、択一式国民年金法
総まとめの記事はこちらです。
社会保険に関する一般常識
空欄(A)
厚生労働省から令和 3 年 11 月に公表された「令和元年度国民医療費の概況」によると、令和元年度の国民医療費は 44 兆 3,895 億円である。年齢階級別国民医療費の構成割合についてみると、「65 歳以上」の構成割合は (A) パーセントとなっている。
正解は「61.0%」。市販テキストでは白書や統計は何も取り上げられていません。
⇒市販テキストでは解答困難。
空欄(B)
企業型確定拠出年金の加入者又は企業型確定拠出年金の加入者であった者(当該確定拠出年金に個人別管理資産がある者に限る。)が死亡したときは、その者の遺族に、死亡した者の死亡の当時主としてその収入によって生計を維持されていなかった配偶者及び実父母、死亡した者の死亡の当時主としてその収入によって生計を維持されていた子、養父母及び兄弟姉妹がいた場合、死亡一時金を受け取ることができる遺族の第 1 順位は、(B) となる。ただし、死亡した者は、死亡する前に死亡一時金を受ける者を指定してその旨を企業型記録関連運営管理機関等に対して表示していなかったものとする。
正解は「配偶者」。市販テキストでは、確定拠出年金法の記載はあるが、死亡一時金については記載はありません。
⇒市販テキストでは解答困難。
空欄(C)
児童手当法第 18 条第 2 項によると、被用者(子ども・子育て支援法第 69 条第 1 項各号に掲げる者が保険料を負担し、又は納付する義務を負う被保険者であって公務員でない者をいう。)に対する児童手当の支給に要する費用( 3 歳以上の児童(月の初日に生まれた児童については、出生の日から 3 年を経過した児童とする。)であって (C) に係る児童手当の額に係る部分に限る。)は、その 3 分の 2 に相当する額を国庫が負担し、その 6 分の 1 に相当する額を都道府県及び市町村がそれぞれ負担すると規定されている。
正解は「15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるもの」。
市販テキストには児童手当法の記載はあるが、費用負担の記載はありません。
⇒市販テキストでは解答困難。
空欄(D)、(E)
介護保険法における「要介護状態」とは、 (D) があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、 (E) の期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分のいずれかに該当するもの(要支援状態に該当するものを除く。)をいう。ただし、「要介護状態」にある 40 歳以上 65 歳未満の者であって、その「要介護状態」の原因である (D) が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるもの(以下「特定疾病」という。)によって生じたものであり、当該特定疾病ががん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)である場合の継続見込期間については、その余命が (E) に満たないと判断される場合にあっては、死亡までの間とする。
正解は、(D)身体上又は精神上の障害、(E)6か月。
市販テキストP394の用語解説で、要介護状態の定義で問題文と同じ文章が記載されています。
⇒市販テキストで解答可能。
社会保険に関する一般常識まとめ
5点中、D、Eの2点は市販テキストで取れそうです。しかし、統計白書は市販テキストに載っておらず、またその他の法令も出題された細かい規定は網羅されておらず、2点という結果になりました。ちなみに2022年本試験の社会保険一般は49.3%の受験生が2点以下でしたが救済はありませんでした。
健康保険法
空欄(A)
健康保険法第 3 条第 1 項の規定によると、特定適用事業所に勤務する短時間労働者で、被保険者となることのできる要件の 1 つとして、報酬(最 低賃金法に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)が 1 か月当たり (A) であることとされている。
正解は、「88,000円以上」。
短期雇用等で適用除外となる条件の基本論点で、市販テキストP10 で赤字で「8万8千円未満」の場合は適用除外となる旨が記載されています。
⇒市販テキストで解答可能。
空欄(B)、(C)
保険外併用療養費の対象となる選定療養とは、「被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める療養」をいい、厚生労働省告示「厚生労働大臣の定める評価療養、患者申出療養及び選定療養」第2条に規定する選定療養として、第 1 号から第 11 号が掲げられている。そのうち第 4 号によると、「病床数が (B) の病院について受けた初診(他の病院又は診療所からの文書による紹介がある場合及び緊急その他やむを得ない事情がある場合に受けたものを除く。)」と規定されており、第 7 号では、「別に厚生労働大臣が定める方法により計算した入院期間が (C) を超えた日以後の入院及びその療養に伴う世話その他の看護(別に厚生労働大臣が定める状態等にある者の入院及びその療養に伴う世話その他の看護を除く。)」と規定されている。
正解は、(B)200以上、(C)180日。
選定療養については、市販テキストのP49で抜粋で記載されており、病床数の(B)200以上は赤字で記載されているが、入院期間の(C)180日を超えたという場合については記載はありませんでした。
⇒市販テキストでは(B)は解答可能、(C)は解答困難。
空欄(D)、(E)
被保険者(日雇特例被保険者を除く。)は、同時に 2 以上の事業所に使用される場合において、保険者が 2 以上あるときは、その被保険者の保険を管掌する保険者を選択しなければならない。この場合は、同時に 2 以上の事業所に使用されるに至った日から (D) 日以内に、被保険者の氏名及び生年月日等を記載した届書を、全国健康保険協会を選択しようとするときは (E) に、健康保険組合を選択しようとするときは健康保険組合に提出することによって行うものとする。
正解は、(D)10日、(E)厚生労働大臣。
(D)は市販テキストP107に「10日以内」は赤字で記載、(E)の厚生労働省は黒字で記載があります。
⇒市販テキストで解答可能。
健康保険法まとめ
5点中、A、B、D、E、の4点は市販テキストで取れそうという結果になりました。
厚生年金保険法
空欄(A)、(B)
厚生年金保険法第 81 条の2の2第1 項の規定によると、産前産後休業 をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、主務省令で定めると ころにより実施機関に申出をしたときは、同法第 81 条第 2 項の規定にか かわらず当該被保険者に係る保険料であってその産前産後休業を (A) からその産前産後休業が (B) までの期間に係るものの徴収は行わないとされている。
正解は(A)開始した日の属する月、(B)終了する日の翌日が属する月の前月。
テキストのP261 に産前産後休業での保険料の免除期間の記載があり、「産前産後休業を開始した日の属する月から産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月」と月と前月は赤字で記載があります。
⇒市販テキストで解答可能。
空欄(C)
厚生年金保険の被保険者であるX(50 歳)は、妻であるY(45 歳)及びYとYの先夫との子であるZ(10 歳)と生活を共にしていた。XとZは養子縁組をしていないが、事実上の親子関係にあった。また、Xは、Xの先妻であるⅤ(50 歳)及びXとⅤとの子であるW(15 歳)にも養育費を支払っていた。Ⅴ及びWは、Xとは別の都道府県に在住している。この状況で、Xが死亡した場合、遺族厚生年金が最初に支給されるのは、 (C) である。なお、遺族厚生年金に係る保険料納付要件及び生計維持要件は満たされているものとする。
正解は、「W」。
市販テキストのP321で、配偶者に対する遺族厚生年金は、「配偶者が遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって、子が遺族基礎年金の受給権を有するとき」は停止される旨が記載あり、子が遺族厚生年金と遺族基礎年金を受給できるイラストが記載されています。
⇒市販テキストで解答可能な論点だが事例問題でやや難易度は高い。
空欄(D)
令和 4 年 4 月から、65 歳未満の在職老齢年金制度が見直されている。 令和 4 年度では、総報酬月額相当額が 41 万円、老齢厚生年金の基本月額が 10 万円の場合、支給停止額は (D) となる。
正解は、「月額2万円」。
市販テキストP282で、総報酬月額相当額+基本月額-支給停止調整額(47万円)の1/2が支給停止となる旨が記載され、「改正」点である旨のマークもあります。
⇒市販テキストで解答可能。
空欄(E)
厚生年金保険法第 47 条の 2 によると、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病に係る初診日において被保険者であった者であって、障害認定日において同法第 47 条第 2 項に規定する障害等級(以下「障害等級」という。)に該当する程度の障害の状態になかったものが、障害認定日から同日後 (E) までの間において、その傷病により障害の状態が悪化し、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その者 は、その期間内に障害厚生年金の支給を請求することができる。なお、障害厚生年金に係る保険料納付要件は満たされているものとする。
正解は、「65歳に達する日の前日」。
市販テキストP303で事後重要による障害年金について、「65歳に達する日の前日」が赤字で記載されています。
⇒市販テキストで解答可能。
厚生年金保険法まとめ
5点中、すべて市販テキストで論点はカバーしています。しかし、(C)の遺族厚生年金の事例問題はやや難易度が高く受験生の多くが直球の条文問題なら解けても事例にされるとその論点が出てこなかったのではないでしょうか。ということで4点としておきます。
国民年金法
空欄(A)
国民年金法第 36 条第 2 項によると、障害基礎年金は、受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときは、 (A) 、 その支給を停止するとされている。
正解は、「その障害の状態に該当しない間」。
市販テキストP189 で「障害等級の障害の状態に該当しなくなっったとき」について、「その障害に該当しない間」は支給停止される旨が黒字で記載されています。
⇒市販テキストで解答可能。
空欄(B)
寡婦年金の額は、死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間及び保険料免除期間につき、国民年金法第 27 条の老齢基礎年金の額の規定の例によって計算した額の (B) に相当する額とする。
正解は、「4分の3」。
市販テキストP201 のイラストで、夫が受給するはずであった老齢基礎年金の「4分の3相当額」である旨が記載されています。
⇒市販テキストで解答可能。
空欄(C)
国民年金法第 128 条第 2 項によると、国民年金基金は、加入員及び加入員であった者の (C) ため、必要な施設をすることができる。
正解は、「福祉を増進する」。
市販テキストP221で重要度Aで基金が行う業務について触れられているが、「任意業務 福祉施設」のみで、該当条文の記載はありません。
⇒市販テキストでは解答困難。
空欄(D)(E)
国民年金法第 14 条の 5 では、「厚生労働大臣は、国民年金制度に対する国民の (D) ため、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者に対し、当該被保険者の保険料納付の実績及び将来の給付に関する必要な情報を (E) するものとする。」と規定している。
正解は(D)は「理解を増進させ、及びその信頼を向上させる」。(E)は「分かりやすい形で通知」。
市販テキストのP229に該当の国民年金法の条文の記載あり。(D)、(E)ともに黒字で記載されています。
⇒市販テキストで解答可能
国民年金法まとめ
5点中、A、B、D、E、の4点は取れるという結果になりました。厚生年金保険法と同じく科目の特性から判例などがないため市販テキストでのカバー率が高くなっていると思われます。

以上、2回にわたって選択式は市販テキストで突破できるかを見てきました。白書や統計は追加で対策が必要ですが、多くは市販テキストの範囲から出題されており、市販テキストの範囲をしっかり勉強すれば合格レベルには達するということが分かりました。
「読めばわかる!社労士テキスト」は2022年度版で終了
検証してきて、最後に残念なニュースを目にしました。なんと、検証に使い、私を合格に導いてくれた「読めばわかる!社労士テキスト」が2022年度版をもって終了し、2023年度は発売されないこととなりました。
検証に使った「読めばわかる!社労士テキスト」は、Amazonのレビューでは、読みやすいが内容がやや薄いという評価もあったので、内容がやや薄いとされる「読めばわかる!社労士テキスト」でも合格レベルですので、他の市販テキストでも合格レベルには達することができるでしょう。
次回は択一式の労働基準法、安全衛生法です。




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